【君塚正太・完全孤独状態での倫理の意味について】

公開日: : 哲学 , , , , ,

Kimizuka Masata

今日もまた、君塚氏から寄稿していただいた記事を掲載する。

完全孤独状態での倫理の意味について

倫理観の存在意義について

あなたが人類最後の生き残りになったとき、あなたにとって倫理(善悪)は意味を成すだろうか。

結論から言えば、その状況では倫理観は何の意味も成さない。むしろ一人で居るという孤独な状況に絶えうる忍耐力、精神の均衡を保つための豊かな想像力が必要になる。しかし私は、この問題を真っ向から否定したのであるから、それを論証しなくてはならない。その義務を果たす必要が私にはある。いかなる時にも、相手の見解を否定するには、それ相応の見識と知恵を持ち合わせなくてはならない。それがあって、初めて公平な立場を維持できるのである。この基本的な掟を厳守し、私は自らの見解の基盤を確固たるものにする。

善と悪について

まず善と悪の定義からしよう。だがこのことについてはショーペンハウアーがその主著「意志と表象としての世界」で、詳しく述べているので、私は補足程度に善と悪について述べることにする。悪とは簡潔に言って、利己心の塊の事である。これが個体化の原理をとり、人間にそのままなれば、それは悪人と呼ばれる。彼は始終、自分のみに降りかかる災厄にばかり、憂慮し、他人の事は眼中に無い。次に善とは、叡知的性格を根源に、現象になり、その途上で諦念を行なう者の事を言う。私は悪については現象とイデアを区別したが、善についてはそれを行なわなかった。なぜならあくまで悪が自然であり、善とは意志を滅却した現象の事を言うからである。意志とイデアは端的に比べて、違うものである。意志が上位で、イデアがその下である。意志がイデアに変換される時に、この善と悪の比率は決められる。科学的に言えば、遺伝的な話になる。脳科学的に言えば、脳幹が意志であり、側頭葉と内分泌腺がイデアに当たるであろう。そして前頭葉が理性である。この説明は長くなるので割合するが、この二つが哲学的な見方と医学的な、善と悪の見方である。

完全孤独状態の実験

次に実験結果を見てみよう。人を孤独にする実験とは、合法的には許されないが、非合法的にはよく行なわれているので、その資料を用いる事にする。この実験方法は簡単である。一人の人間を薄暗い牢屋の中に閉じ込めるだけである。およそ一週間、それを継続すれば、必要な資料は出揃う。基本的には、六人の人間(全て男)、を材料に用いた。平均して、四十八時間以内に全ての人間が発狂した。この中には広域暴力団、山口組幹部、稲川会幹部もいたが、最初の内は会社員などの一般人と呼ばれる人間と大きな違いは見られなかった。唯、怒声や叫び声に若干、低めの音が混じった。そこにはこれらの人間、特有の自尊心に対する過度の保障が関わっていると思われる。そのためか、これらの人間には早くして、環境への速やかな対応が認められた。統計的な結果、被験者中、四人が周期的な発狂を繰り返していたのに比して、暴力団員二名は次第に落ち着きを取り戻していった。さらにこの四名の内でも突発的な暴力行為を行う一名にも、最後の三日間、環境への適応が認められた。

実験結果

この資料を参考にすると、どうやら孤独に強いのは利己心の強い人間ということになる。さらに後日の面接では、この二名には執着性、狡猾さが認められた。この二つの要素は、元来相反するものであるが、うまく混合されていれば、それは冷静さと鋭い洞察力を生む。これは精神医学的に立証できる。戦時における、対人恐怖症、強迫神経症に罹りにくいのもこの種類の人間である。反対に一般的に呼ばれる正義感の強い人間、及び思春期の少年は、精神異常をきたし、この実験が長い期間、影響を与えた。この実験における影響は主に妄想による現実の否定、人の発言に過剰な攻撃的行為をとる形となって、現れた。そこには、善にひた走る人間の浅ましさが見られた。罪悪感から生まれない善とは根本が貧弱であり、なおかつ人生の悲劇を否定するのである。そこにこのような実験を科せば、当然、その脆さは露呈されることとなる。これとは違い、暴力団幹部両名には、親しい者に対する情が見られた。それはキリスト教的な同情ではなく、相手に厳しくはするが、実はその根底に現実を見つめる目がある、同情であった。いわゆる、ニーチェが述べた同情に対する嫌悪に近いものである。これについては「ツァラトゥストラ」のもっとも醜い人間を、参照すれば、より理解が深められる。

孤独に耐えられるのは悪人

最後に総括すると、善だけを求める人間は孤独に耐えられない。その反対に徹底した悪人は、善人よりも環境への適応が早い。そして狡猾で想像力に富んだ悪人、孤独を知る賢人は孤独に強い。まさしく、ニーチェやキルケゴールのような人間は、孤独に強いのである。これは彼らの人生を紐解けば、なお一層分かる。また、反社会的な人間で、ある程度の地位を裏社会で築いている者も孤独には強い。

 

文責: 君塚 正太

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